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東大航空宇宙の院試 vol.2 専門科目の対策

院試
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どうも,ておておです!

今回は東大大学大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻の院試の説明第二弾ということで,専門科目の対策について説明しようと思います.

東大航空宇宙の院試ついて↓の別記事にも情報を載せているので,ぜひそちらもご覧ください!

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専門科目概要

専門科目は2日目に実施されます.

  • 流体力学
  • 固体力学
  • 航空宇宙システム学
  • 推進工学

の4つの分野から大問1問ずつ出題され,その4つの大問から3つを選択し,解答します.これを午前・午後と繰り返すので合計で8つの大問から6問を選択し,解答することとなります.

解答時間は午前・午後それぞれ3時間で,合計6時間のかなり長丁場な試験となります.

試験範囲

先ほど説明した4つの分野の試験範囲にはどのような学問が含まれるのかを解説していきます.

流体力学

流体力学の問題で出題されるのは

  • 非粘性流体(ポテンシャル流)
  • 粘性流体
  • 圧縮性流体

です.午前・午後のどちらか一方で圧縮性流体の問題が出題され,もう一方で非粘性流体または粘性流体の問題が出題されます.例えば,午前中に衝撃波の問題(圧縮性流体),午後に境界層の問題(粘性流体)といった感じです.

多くの問題は流体力学に航空機の内容を絡めて出題されます.例えば翼の空力中心を求める問題や,飛行機の風洞実験に関する問題が流体力学の問題として過去に出題されました.

流体力学の問題は簡単な年と難しい年のの差が激しいと感じていました.特に圧縮性流体は公式の導出をするだけの簡単な問題の年もあれば,全く方針が立たない問題の年もありました.

固体力学

固体力学の問題で出題されるのは

  • 材料力学
  • 弾性力学
  • 構造力学

です.3つの学問名を書いたものの正直それぞれの間の境界線がよくわかりません笑.

午前・午後のどちらか一方で材料力学の問題が出題され,もう一方で弾性力学または構造力学の問題が出題されます.例えば,午前中に梁の曲げの問題(材料力学),午後に座屈の問題(弾性力学かな?)といった感じです.

材料力学の問題は見たことのないような問題が出ることはほとんどなかったです.しっかりと演習を積んでいれば方針が立ちやすい問題が多かったです.

弾性力学・構造力学は難問が多かったように感じます.個人的に苦手なのもあり,院試では積極的に避けてました.特に座屈の問題は典型的な問題でなければ絶対に避けようと決めていました(試験本番の午後に座屈っぽい絵が描かれた問題が出たのですが,問題を読む前に切り捨てました).

航空宇宙システム学

航空宇宙システム学の問題で出題されるのは

  • 古典制御
  • 現代制御
  • 航空力学
  • 人工衛星の軌道計算
  • 人工衛星の姿勢制御

です.午前・午後のどちらか一方で制御工学に関する問題が出題されることがほとんどです.もう一方は他の学問からランダムに出題されます.

制御に関する問題は比較的基本的な内容が多く,ちゃんと勉強をしておけば得点しやすい科目だと思います.

難しいのは,航空力学と人工衛星の軌道計算・姿勢制御に関する問題です.航空力学とか人工衛星の軌道計算・姿勢制御って内容がかなり広いので,どこまで勉強をすべきなのか迷いました.また,過去問の中にはどの参考書にも載っていないことを出題している年があったりして,「どうやって対策すれば良いねん!」って思うこともしばしばありました.個人的に一番対策に困った科目です.

問題の難易度的にも,難問・奇問が一番出題されやすいのがこの航空宇宙システム学だと思います.ただ,勉強してて一番楽しかったのもこの航空宇宙システム学でした.

推進工学

推進工学の問題で出題されるのは

  • 機械力学
  • 熱力学
  • ロケット工学
  • (伝熱工学)

です.午前・午後のどちらか一方が振動の問題でもう片方が熱力学という組み合わせが多いですが,たまにロケット工学の問題が出されます.

機械力学は比較的基本的な内容が多かったと思います.ちゃんと勉強をしておけば得点しやすい科目だと思います.

熱力学はブレイトンサイクルに関する問題がほとんどです.比較的基本的な内容が多く,ちゃんと勉強をしておけば得点しやすい科目だと思います.

ロケット工学は名前だけ聞くと難しく感じますが,出る範囲はほとんど決まっているので比較的簡単に対策できます.

このように,全体的に得点しやすいのがこの推進工学です.

ただ,一つ問題があります.それは,一番下にかっこ付けして書いた伝熱工学です.伝熱工学の問題は2014年に一度出題されていますが,それ以来出題されていません.しかも伝熱工学ってかなり分量が多いので真面目に勉強しようとすると膨大な時間がかかります.なので私は全く対策をしませんでした.余裕があるならば伝熱工学を勉強しても良いかとは思いますが,もし勉強が進んでおらず他の科目がヤバいのであれば伝熱工学は勉強せずに他の科目の勉強に時間を割いた方がよいというのが私の意見です.

私が使用した参考書

上述の試験範囲を踏まえて私が使用した参考書を紹介していきます.

流体力学

流体力学の参考書についてはマリン様のこちらの記事で詳しく紹介されている以下の3冊を主に用いていました.日本航空宇宙学会が刊行している「航空宇宙テキストシリーズ」の中の3冊です.

これらの参考書,ものすごくお勧めです.まじで買ったほうが良い.日本航空宇宙学会が刊行している本というだけあって航空系の内容も豊富に取り扱っていて,東大航空宇宙の流体力学の対策に最適な参考書だと思います.

ただし,流体力学を学び始めたばかりの人にとっては難しすぎる内容だと思います(というか,私がこの本を使って流体力学を学び始めたのですが,難しすぎて挫折しました…).そこで私が流体力学を学び始めのころに用いた参考書が次のものです.

「演習で学ぶ」という名前の通り,流体力学の演習問題がたくさん収録されている参考書です.流体力学の基礎の問題はほぼすべて網羅されていると言って良いと思います.基礎の演習問題をたくさん解いて理解する派の私にぴったりの本でした.しかもそれぞれの章の最初に内容がまとめられているページがあり,これが演習本とは思えないほど非常に分かりやすくまとめられています.

ただし,注意点が2つあります.1つ目は圧縮性流体の問題は収録されていないという点です.2つ目は分量がとても多く(515ページで総問題数がなんと251問!),無駄な問題(あくまで東大航空宇宙で出題される問題の傾向を考えた場合です)がたくさんあるということです.この参考書を1周終えるのに1ヶ月以上要したので,試験まで時間の余裕がある場合に使うことをお勧めします.

他にはこんな参考書も購入していました.

航空宇宙工学科の授業で使用されているらしいので購入しました.前述の日本航空宇宙学会の圧縮性流体力学の参考書よりもさらに発展した内容まで記述されていて,めっちゃ分厚いです.

この参考書は購入したは良いものの,ほとんど使わなかったです.というのも前述の日本航空宇宙学会の圧縮性流体の本だけで事足りてしまうんですよね.過去問の問題で一度だけこの本にしか記述されていないような問題を見かけましたが,それ以外ではあまり用いませんでした.

固体力学

材料力学は自大の授業のために購入した日本機械学会の本で勉強しました.

日本機械学会の参考書は機械工学系の院試では定番の参考書なのではないでしょうか.解説のほかに演習問題もたくさん載っているので,これ一冊で理論の理解から演習までこなすことができました.

弾性力学も自大の授業のために購入した次の参考書で勉強しました.

この参考書,とにかく誤植が多いし,あんまり分かりやすくなかったです.ぜひ他の参考書を使うことをお勧めします.

航空宇宙工学科の授業で使用されているという次の参考書も購入していました.

この参考書,デイビッド様の記事で紹介されているのですが,とにかく難しい…,わけわからない…,弾性力学大っ嫌い….結果,最初の数ページと座屈に関するページだけ読んで終わりました.

航空宇宙システム学

古典制御の勉強のために購入した参考書は次の2つです.

1つ目の「フィードバック制御入門」は自大の授業のために購入したものですが,とても分かりやすく,良くまとめられていると思います.多くの大学がこの参考書を授業の教科書として指定しているらしいので,もしかしたら持っている方も多いかもしれません.

2つ目の「演習で学ぶ~」は古典制御の演習本です.基礎的な問題がほとんど網羅されており,無駄な問題も少ないので非常におすすめの本です.この演習本の内容を一通りできるようになれば院試の古典制御の問題で全く解答の方針が思いつかない…ということはほとんど無いかと思います.

次は現代制御です.現代制御の勉強のために購入した参考書は次の2つです.

先に2つ目から紹介すると,先ほど紹介した古典制御の演習本の現代制御版です.この「演習で学ぶ~」シリーズ,制御を勉強する際に非常におすすめの本です.そして,この演習本の筆者が執筆された現代制御の解説本が1つ目の本です.非常に分かりやすく,良くまとめられています.この二つの本を組み合わせると,非常に効率的に勉強を進めることが出来ます.

日本機械学会の制御工学の参考書も購入していました.

私はこの参考書をあまりお勧めしません.古典制御から現代制御まで一通りのことが記述されていますが,膨大な範囲を一冊にまとめたせいか,上述の本よりも内容がかなり薄いなと感じました.

次に航空力学です.航空力学はデイビッド様の記事で「神の召されし書物」とまで絶賛されていた次の本で対策をしていました.

非常に分かりやすい参考書で,とてもおすすめです.個人的に航空力学の勉強はこの本だけで十分だと思います.

また,この本は院試の対策にも非常に役立ったのですが,読み物としても非常に面白かったです.これを読んでから飛行機に興味を持つようになりました.

人工衛星の軌道計算は次の参考書を使っていました.

自大の授業のために購入したものです.人工衛星の軌道計算とか,姿勢制御に関する参考書は難易度が高すぎて何を言っているのかわからないものが多いのですが,この本は比較的難易度が低かったので理解しやすかったです.また,推進工学で出題されるロケット工学の内容も記述されていたので,そちらの勉強にもなりました.かなりおすすめの参考書です.

人工衛星の姿勢制御は次の参考書を使っていました.

この本は,国際宇宙ステーションに関することを中心に宇宙工学の全般のことを紹介しています.その中に姿勢制御に関する説明があったので,それを見て勉強していました.

この本の執筆者の一人である東工大の松永三郎先生が,東工大の宇宙関係の授業の講義資料をこちらのサイトで公開しています.このサイト内の「姿勢のキネマティクスとダイナミクス」という資料の内容が,この本の姿勢制御の章の内容と全く同じなので,わざわざこの本を買わなくてもサイトの資料を参考にすれば十分だと思います.

推進工学

熱力学は自大の授業のために購入した日本機械学会の教科書を用いて勉強していました.

普通に分かりやすかったです.熱力学は概念が掴みづらいもの(エントロピーとか)が多く,なかなか理解が進まなかったので何回もこの本を読んで勉強しました.熱力学について網羅的に説明がされており,ほとんどの公式の証明もなされているので初めて熱力学を勉強する際におすすめです.

上述の本は東大航空宇宙で頻出のブレイトンサイクルに関する記述がそこまで多くなかったので以下の本でブレイトンサイクルについてさらに深く勉強しました.

その名の通りジェットエンジンの仕組みについて解説した本です.この本の前半でブレイトンサイクルについて詳しく解説されています.後半はジェットエンジンのタービンや圧縮機の原理などについての解説が主だったので全然読んでいません.

機械力学は次の本を使っていました.

演習で学ぶって書いてありますが,あまり演習問題は多くありません笑.この本を主に使っていましたが,ぶっちゃけおすすめはしないかな.もっとわかりやすい本があっただろうなと思いながらこの本を使って勉強をしていました笑.

ロケット工学に関しては前述の通り人工衛星の軌道計算と同じ参考書を使っていました.

総合演習

最後に一通りの範囲を勉強し終えた後に使用した参考書を紹介します.

この本のことは多くの人が知っているのではないでしょうか.

機械系大学院を受験する予定のほとんどの人が手に取る参考書だと思います.過去の実際の院試問題から良問を抜き出した参考書です.一通り範囲を勉強し終えた段階でこの参考書を使用すると全範囲の復習になると同時に,実際の院試でどのような問題が出るのか雰囲気をつかむことができて良いと思います.

よく言われていますが,この本はかなり誤植が多いです.初版のころに比べるとかなり誤植の数は減ったみたいですが,それでも多いです.これは誤植かな?と思ったらこの本の誤植を掲載するサイトがあるのでそちらを参考にしてみてください.私はこのサイトに非常にお世話になりました.

また,この本は受験勉強を始めて最初に手を付けるべき本だと述べているサイトがいくつかありますが,個人的にそれはやめた方がよいと思います.ある程度勉強が進んでいる人をターゲットにしているのか,詳しい説明を省略している箇所が多いからです.私の周りには勉強し始めでいきなりこの本に手を出して全く分からずに嘆いている人がたくさんいました.

過去問

最後に過去問です.

専門科目の過去問はこちらの下の方に記載がある通り本郷キャンパス内の工学部プリントセンターという場所で購入することができます.郵送でも購入できます.私は過去7年分の過去問を購入することができました.

私は「過去問に出る問題はもう二度と出ない問題だからやる意味ないじゃん」という考えの人なので過去問はそこまで重点的にやっていません.主に時間配分や問題形式に慣れることを目的として過去問を解いていました.また,過去問を解く中で勉強していない範囲の問題が出題されていたりする(主に航空宇宙システム学)ので,そのような範囲を炙り出すためにも過去問を解いていました.

最後に

いかがだったでしょうか.かなり長い記事になってしまいましたが,私が専門科目について説明できることはほとんど説明したつもりです.

もし質問等あれば遠慮をせずにコメントまでどうぞ!

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